著者 松井みどり/出版社 朝日出版社/分類 実用書
1、80年代〜90年代と続く2000年アートへのヒント
現代アート(2000年前後の新しいもの)の批評や評論本を探がしていました。自分が何を表現するべきか、わからないでいる時。とにかく、知識を深めたい!そんな思いから手に取った一冊です。現代アートの分野を調べていくと、よく目にする「芸術が終わった後のアート」という言葉にも興味を引かれました。
2、著者:松井みどり
経歴
美術評論家の松井みどりは、東京大学大学院英米文学博士課程満期退学ののち、プリンストン大学より比較文学の博士号取得されています。そして、世界の美術学術誌や企画展カタログに同時代の日本や英米の現代美術の潮流や作家について論文を世に発表されています。現在は多摩美術大学非常勤講師。
他の本の紹介
『マイクロポップの時代:夏への扉』(2007年、水戸芸術館)、『ウィンタ−ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開』(2009年、原美術館)など。
3、ポストモダンとその種類、現代美術まで
本の構成
第一章 モダンからポストモダンへ 「芸術が終わった後の芸術」の始まり
第二章 表象批判からファンタジーへ 変貌するポストモダン芸術
第三章 リアルなものの探求 「おぞましい」身体、文化多元主義、はかなさの力
第四章 美と日常性の再発見
第五章 「モダニズム」の閉じゆくフィールド、立ち現れる「現代の美術」
本の構成は、比較的に簡単にできています。全五章までですので、ムズカしい現代美術本よりかは、幾分楽に読めるでしょう。
4、この本の序章を3点で
「芸術が終わった後のアート」=「自律的な芸術を頂点とする評価の制度が崩れた後の芸術」
本文より引用
「現代美術」の始まりより少し前、つまり80年代〜90年代の美術についてから始まっています。前衛と「モダニズム」に続く「ポストモダン」について書かれています。「現代美術」は、突然現れた新しいものではなく、前々から進んでいた流れの中から出てきたもの。であると、文中では書かれています。
5、芸術に役立つ内容
第一章では、いくつかあるポストモダンの種類(保守的ポストモダン、アプロプリエイション、ポストモダン・アレゴリーなど)を作家とともに紹介しています。
各章毎に、関連の作品写真が載せれれていて海外のアーティストだけでなく国内アーティストも紹介されています。
6、最も大切な内容
ここで紹介した作家たちは、ほとんどが、すでに、世界中の国際展に選ばれ、主要都市のギャラリーや美術館で個展を昇ような、エスタブリッシュされた存在です。
・・・・・略
ただ、大切なのは、彼らのような、70年代末までの価値基準であればとても高等な美術とは認めれれなかったかもしれないスタイルをもった作家たちが、今は、現代美術として堂々と認められているということです。
本文より引用
僕は、どの時代の美術もその時の基準から外れた作品が、美術史に残っていると思います。西洋美術や近大美術史彫刻史などを読んでいけば、その考えかたは、自然だと気がつきます。人は、新しい発見に心躍る生き物だからです。自分の信じる価値基準を世に放って、体当たりで人々に迫っていくことが大切なことです。
7、お勧めの理由
読んでほしい人
昔からある、美術史の本には、美術史全体を収めた作品と作家の名前、アート全体の流れがざっくりと書かれていむものが多いです。この本は、そう言ったものとは少し違います。
普通の美術史を読み飽きた人にこそ、読んでほしいと思っています。ピンポイントで80年代と90年代のアートについて書かれています。ピンポイントです。
自分がお勧めする理由
この本は、他の美術史には書かれていない。今に近い芸術の歴史(現代美術)が、書かれていると思います。わかりにくい現代美術について作家がどのような、歴史の流れで作ってきているのか。その答えになる要素が、たくさん詰まった本です。
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