作者:デイヴィッド・ベイルズ + テッド・オーランド
訳=野崎武夫
出版:フィルムアート社
この本は、アーティストの制作を続けていく上での心構え(制作の続け方)について書かれています。
不安の例が、これまで制作を続けてきた方であれば響く内容(あるある!とうなずてしまう感じ)、その不安をどう乗り越えるのかといった具体的打開策が書かれています。
制作とは、どう言うことなのか・・・と言う問いに答えてくれる一冊です。
本の3つのポイント
制作を続けて行くための知恵を学ぶために書かれた本。
この本の、趣旨を3つに分けるとすれば「アートを続ける場合の不安について」「自分自身と他者への不安について」「外界(外部)との関わり合いについて」です。
意気揚々と制作をつづけていてもある時、突然制作ができなくなてしまうことがあります。不安が頭によぎり手がつけられなうなって行く。この本では「問題の本質はどこにあるのか?」と言う問いから第1章が始まります。不安の中、自分は「アートをしている」ふりをしているだけだはないかと自分を疑い「制作とは何か?」と言うもっと大事な問いを考える人が少ないのです。
どうしたら、作品は完成するのか? なぜ作品はたいていの場合、完成ないのか? 作品をつくりはじめた人の多くが途中で投げ出したくなるような、制作にともなう本質的な難しさとは、いったい何なのか?
アーティストのためのハンドブック 本文より
私も制作を続けていて突然手が付られなくなった経験があります。アイディアをスケッチしていても、頭の中で完成まで想像した瞬間、「現実の素材や環境に対する苛立ち」が起ってしまうのです。
どこか、昔見た作家のフォルムに似ていたりするので「もうすでにある・・・」と自分の想像力の乏しさに気力がなくなって行くのです。
作品制作が順調に進むと、たとえ個人的な好みが積み上げられてつくられた制作物であっても、すべてに生命が宿ります。結局、制作物とはあなたの子供なのです。あるひとつのアートに関する質問から、たくさんの適切な答えを導き出すのであれば、あなたの義務はありうべき多様性を探求することであると言われたとしても当然です。
アーティストのためのハンドブック 本文より
そんな中でも、作品制作を続けていれば、いずれ制作したもの全てがどこかで展示される機会が巡ってくるはずです。当たり前のことですが、続けることの大切さを説いている本です。
作品制作とは、ごく普通の仕事です。ただし、仕事に取り組むには勇気が必要です。そして、「アートと不安」に関する相互作用を仲裁する知恵が必要です。
アーティストのためのハンドブック 本文より
作品制作をどう続けて行くのかと言う知恵を学ばなければ、何を最良の制作物とするのかについて、コンセンサス(意見の一致)がないこの世界(アート)に居続けることはむずかいしいと言う答えになるのでしょう。
まとめ
どの分野でも、一つのことを続けることはむずかいしい。なぜなら、人間は飽きる生き物だからです。
このことは、伊藤真が書いた「続ける力」にも書かれていました。(また、別に紹介ページ書きます)
アートの世界では、普通の職業とは違い(比較するなら法律でルールが決まっている職業)何が正解なのかと言ったものがないのでより一人で悩みにハマりやすいのかもしれない。
体や精神の健康面を気にしつつ、長く続けて行く知恵を身につけたいですね。
最後に、この本でグッときた一文を引用して終わりにします。
やめてしまうことと中止することは、根本的に異なっています。やめると言うことは、もう一度スタートすることを意味しません。作品とはすべてが、もう一度スタートしたものなのです。
アーティストのためのハンドブック 本文より
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